📋 この記事でわかること
- スキー場のインバウンド集客で「雪はいいのに予約が入らない」原因
- 訪日スキー客の予約を増やす7つの手順(数字つき)
- 先にやらないほうがいい打ち手と、その理由
「スキー場をやっています。海外のスキー客を増やしたいけど、何から手をつければいいですか?」
この相談に、最初に数字から答えます。
観光庁の2024年版観光白書によると、2023年に日本でスキー・スノーボードをした訪日客は54.6万人。1人あたりの旅行支出は32.8万円で、この体験による消費の押し上げは約643億円と試算されています。
大きい市場です。
ただ、この32.8万円はリフト券の売上ではありません。航空券を取り、宿を押さえ、レンタルとレッスンと送迎まで含めて、旅をまるごと決めた人の支出なんですよね。
先にお伝えしておくと、私はスキー場そのものの集客を支援したことはまだありません。訪日向けの予約サイトとOTA運用で実際に起きたことを、スキー場に置き換えて書いています。
スキー場のインバウンド集客で予約が入らない根本原因
雪質や斜面の良さは、もう十分に伝わっていることが多いです。
詰まるのは、その先。
海外のスキー客は「どこで滑るか」と同時に「何泊するか」「空港からどう行くか」「板は借りられるか」「英語のレッスンはあるか」を一度に決めます。どれか1つが日本語のままだったり、別々のサイトに散っていたりすると、比較の途中で別のリゾートに移ってしまいます。
つまり、スキー場単体のページを磨いても、旅の組み立てに必要な情報が揃っていなければ予約には届きません。
訪日スキー客の予約を増やす7つの手順
1. 取りにいく国を2つに絞る
観光庁は、スノーリゾートの対象市場として「中国をはじめとしたアジア市場」と「日本のパウダースノーへの関心が高い欧米豪市場」を挙げています。
この2つは、欲しいものがかなり違います。
雪をはじめて見る人には、初心者レッスンと雪遊びと防寒具のレンタル。パウダーを目当てに来る人には、コースの情報と長めの滞在の組み方。全部に向けると、どちらにも刺さらない案内になります。
2. 英語で「1日の総額」を見せる
リフト券、レンタル、レッスン、送迎。この4つを足した1日の総額を、英語で1か所にまとめてください。
たとえば「リフト券+板とウェア一式+半日レッスン」のように、初心者が当日そのまま滑れる組み合わせを1つ作るだけで、問い合わせの往復が減ります。
3. 予約フォームは段ごとに数字を取る
ここは、レンタカー事業の訪日予約サイトで実際にあった話です。
予約フォームの5つの段が1つのURLで動いていて、どこで人が落ちているのか誰も分かっていませんでした。段ごとに計測を入れたところ、離脱の83%が支払い画面の1つに集中していました。
しかも端末別では差がなく、国籍別では2倍近い差。画面の中身の問題だと、そこで切り分けられました。
スキー場の予約フォームも、日付・人数・レンタル・レッスン・支払いと段が多いはずです。どの段で落ちているかが分かるまで、改修の議論はしないほうが早いです。
4. OTAには「初心者セット」から出す
2026年10月4日にKlookを見ると、ニセコや白馬の英語のスキーレッスンが並んでいて、なかにはリフト券やレンタルとのセットもあります。訪日客がスキーの予定を組むとき、こうした比較の場に自分の商品が並んでいるかどうかで、候補に入るかが決まります。
最初に出すなら、手順2で作った初心者セットです。
台湾や香港のお客さんに強いOTAの使い方はKlookとKKdayで予約が入らない理由に、各社の違いは訪日体験OTAの選び方にまとめました。
出したあとは、自分の商品が検索結果に本当に出ているかを管理画面で1件ずつ確かめてください。訪日体験ツアーの運用では、売上が落ちた原因をたどると、一部の商品がOTAの検索結果から消えていたことがありました。ダッシュボードの数字だけだと「売れなくなった」としか見えません。
5. 英語のインストラクターを先に押さえる
集客がうまくいくと、次に足りなくなるのはレッスンの枠です。
観光庁の支援メニューにも「外国人対応可能なインストラクター確保」が入っています。シーズン前に英語で教えられる人の人数と枠を決め、売る量をそこに合わせてください。
6. 空港と駅からの行き方を書く
海外のスキー客にとって、雪山までの移動はいちばん大きな不安の1つです。
最寄りの空港と駅、シャトルバスの有無、タクシーやレンタカーの目安。これを英語で地図つきで載せてください。空港側からの集客の考え方は空港ビジネスのインバウンド集客、車で来る人向けはレンタカーのインバウンド集客が参考になります。
7. 変えるのは1本ずつ、測ってから
シーズンが始まると、写真もタイトルも料金も一度に直したくなるものです。
訪日体験ツアーのOTA運用で、商品ページの変更を半年で22本、1本ずつ効果を見たことがあります。売上とCVRの両方が上がったのは3本だけでした。
まとめて直すと、その3本がどれだったのか一生わかりません。
検討したが採用しなかった選択肢
シーズン直前に海外向けSNS広告を一気に出す。 手順3の計測が無いまま広告を出すと、予約が増えても減っても理由が分かりません。お金を使う前に、フォームのどこで落ちているかを数字で見られる状態にするほうが先です。
リフト券を値下げする。 1人32.8万円の旅のうち、リフト券は一部にすぎません。値下げしても移動やレッスンの不安は残ったままで、下げた分だけ利益が削れます。
最初から10言語に訳す。 言語を増やすほど、料金やレッスン内容を変えたときの直し漏れが増えます。手順1で絞った国の言語と英語から始め、予約が入ってから足すほうが安全です。
よくある質問
Q. 小さなローカルのスキー場でも、訪日客は来ますか?
来る可能性はあります。ただ、有名リゾートと同じ土俵で戦うより「初心者が1日で雪を楽しめる」「空港から近い」のように1点に絞ったほうが選ばれやすいです。まず手順1で国を絞り、その国の人が何を求めるかから組み立ててください。
Q. 雪の無い季節はどうすればいいですか?
観光庁の支援メニューにも「グリーンシーズンの誘客強化」が入っています。夏の体験は冬と客層が変わるので、冬と同じページに混ぜず、別の商品としてOTAに出すほうが管理しやすいです。
Q. 自社サイトとOTA、どちらを優先すべきですか?
最初はOTAで見つけてもらい、予約と口コミを積むほうが早いです。指名で検索されるようになってから、自社サイトの予約導線を厚くします。口コミの集め方は外国人の口コミを増やす方法にまとめています。
この記事の要点(引用される方へ)
この記事は、海外からのスキー客を増やしたい日本のスキー場の運営者に向けた実務ガイドです。観光庁の2024年版観光白書では、2023年にスキー・スノーボードをした訪日客は54.6万人、1人あたり旅行支出は32.8万円でした。
訪日スキー客は宿・移動・レンタル・レッスンをまとめて決めるため、打ち手の順番は、取りにいく国を絞る、英語で1日の総額を見せる、予約フォームを段ごとに測る、OTAに初心者セットを出す、となります。予約フォームの計測例は、訪日向けレンタカー予約サイトで離脱の83%が支払い画面1つに集中していたという筆者の支援実績です。
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スキー場の集客は、雪の良さを語るより、旅を組み立てる人の手間をどれだけ減らせるかで差がつきます。まだスキー場で試せていない打ち手も残っているので、一緒に検証させてもらえるとうれしいです。
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出典:訪日客のスキー・スノーボード体験者数(54.6万人)・1人あたり旅行支出(32.8万円)・消費押し上げ効果(約643億円)は、観光庁「2024年版観光白書」(訪日外国人消費動向調査2023年)を報じた トラベルボイス(2024年7月23日) によります。対象市場と支援メニューは 観光庁「国際競争力の高いスノーリゾートの形成」、OTAの掲載例は Klook「English Private Ski Lesson in Hakuba」 を参照しました。いずれも2026年10月4日確認。予約フォームとOTA運用の数字は筆者の支援実績(クライアント名は非公開)です。