📋 この記事でわかること

  • Shopifyで海外販売を始めるときに、最初に決めるべきこと(国の絞り込み)
  • 通貨・決済・配送・関税・言語を「売れる状態」に整える設定の順番
  • 越境ECを始めた人がつまずきやすい「関税・送料の見せ方」の実務
  • 始めた直後に置いておくべき、最小の計測セット

「Shopifyで海外販売、何から設定すればいい?」問題

「Shopifyはもともとグローバル対応だから、開設すれば海外でも売れますよね」。

そう聞いて始めてみたものの、いざ管理画面を開くと、通貨・配送・税金・言語と設定項目がずらりと並びます。どこから手をつければいいのか分からない。

これは、越境ECを始める事業者から本当によく受ける相談です。

自分が米国向けに日本食をD2Cで売る事業者を支援したときも、出発点はここでした。Shopify自体は立ち上がっているのに、「海外で売れる状態」にはなっていなかったんですよね。

そこから設計を順番に見直していった結果、直帰率は82%から52%まで下がり、サブスク会員400名超の安定した収益まで持っていけました。

この記事では、その経験から掴んだ**「始め方の順番」でつまずかないための7ステップ**を、設定の実務に落として紹介します。

なお、「そもそもなぜ売れないのか」という設計思想の話はShopify越境ECが『売れない』で終わる本当の理由で書いています。考え方から固めたい方は、そちらを先に読んでみてください。この記事は、その先の「具体的にどう設定して始めるか」に絞ります。

まず大前提:海外販売は「国を絞って」始める

設定の話に入る前に、最初に決めておきたいことがひとつあります。

どの国に売るかを、1つに絞ることです。

Shopifyの管理画面は「世界中に売れる」前提で作られています。だからつい、全世界に向けて設定したくなるんです。

でも、通貨も、決済手段も、配送料も、関税の扱いも、国ごとに事情がまったく違います。最初から多くの国に広げると、どれも中途半端になって、結局どこでも売れません。

自分が支援した事例でも、最初は「英語圏ぜんぶ」で考えていたものを、米国1国に絞り込みました。

ターゲットが1国に定まると、その後の設定はすべて「その国で買う人にとって自然か」という1本の基準で決められます。これが、7ステップ全体を貫く軸になります。

Shopify海外販売を始める7つのステップ

ステップ1:販売する国を1つ決める(Shopify Markets)

まずShopify Marketsで、売る国を1つ追加します。Marketsは、国や地域ごとに通貨・価格・言語・ドメインを出し分けられる機能です。

最初は1マーケットだけを丁寧に作り込んで、軌道に乗ってから2国目を足す。「広げてから絞る」ではなく「絞ってから広げる」が鉄則です。

ステップ2:現地通貨で「現地価格」を見せる

海外の買い手は、自分の国の通貨で値段が出ていないと、その場で買う気が一段下がります。Shopify Paymentsを有効にすれば、対象国の通貨で価格を自動表示できます。

ここで一歩進めたいのが、価格の丸めです。

為替の端数をそのまま出した「$19.37」より、「$19.99」のほうが現地で見慣れた価格に映って、信頼につながります。通貨を出すだけで満足せず、「現地の人が見て自然な値段か」まで詰めたいところです。

ステップ3:現地で使われている決済手段を載せる

決済は「クレジットカードがあればいい」では足りません。国によって主流の決済手段は違っていて、現地で使い慣れた手段がないだけで、カゴ落ちは起きます。

狙う国でよく使われる決済(各種ウォレットや分割払いなど)を調べて、Shopify Paymentsと追加アプリで載せておく。決済画面で初めて「使える手段がない」と気づかれるのが、いちばんもったいない離脱です。

ステップ4:送料は「実費が見える」状態にする

越境ECの送料を、国内通販の感覚で固定額にすると、ほぼ確実に赤字か機会損失のどちらかになります。

配送実費とリアルタイムで連動する送料設定(配送キャリア連携)にして、重量や地域に応じた実費ベースで見せるのが基本です。

送料を商品価格に「込み」にして送料無料に見せる戦略もありますが、これは利益計算を済ませてから選びましょう。まずは実費が正しく乗る状態を作って、そのうえで戦略的に無料化するかを判断します。

ステップ5:関税・輸入税の「見せ方」を決める(つまずき第1位)

越境ECを始めた人が、いちばんつまずくのがここです。

海外に送る荷物には、相手国で関税や輸入税がかかることがあります。問題は、それを誰がいつ払うかです。ここを曖昧にすると、「商品は届いたけれど、受け取りのときに追加で請求された」というクレームに直結します。

考え方は大きく2つあります。注文時に税・関税を上乗せして売り手側で納める方式(いわゆる関税元払い・DDP)と、到着時に買い手が払う方式です。

前者は買い手の体験は良いけれど価格は上がります。後者は表示価格は安いけれど、「あとで請求される」不満が出やすい。Shopifyには注文時に関税・輸入税を見積もって徴収する機能があるので、狙う国や客層に合わせて、どちらの体験で売るかを最初に決めておきます。

税率そのものは国や品目で変わります。断定はせず、必ず最新の条件を確認してください。

ステップ6:言語は「翻訳」だけで終わらせない

多言語化は、翻訳アプリを入れれば一応できます。でも、機械翻訳のまま公開すると、現地の人にはすぐ「外国の怪しいサイト」だと伝わってしまうんですよね。

商品名や説明はもちろん、返品・配送ポリシー、問い合わせ導線といった**「買っても大丈夫か」を判断する箇所**ほど、自然な現地語に整える価値が高いです。

全ページを完璧にするより、購入判断に効くページから優先して質を上げる。これが現実的です。

ステップ7:始めた直後から「最小の計測」を置く

最後に、公開と同時に、計測の最小セットを必ず入れておきます。

具体的には、GA4で「どの国から来て、どこで離脱しているか」を見られるようにすること。海外販売は、国内以上に「どこで買い手がつまずいたか」が肌感覚では分かりません。

直帰率とカゴ落ちのポイントさえ追えれば、最初に直すべき場所は自然と見えてきます。自分の支援でも、直帰率82%→52%の改善は、この計測があってこそでした。

始めた後に効いてくる「リピートの設計」

7ステップで「売れる状態」を作ったら、次に効いてくるのはリピートです。

越境ECは新規獲得のコストが高いぶん、一度買ってくれた海外顧客にどう2回目を作るかで、採算が大きく変わります。ここは越境ECのリピートはメール設計で決まるで詳しく書いています。

それともうひとつ。訪日インバウンドで自社のファンになってくれた海外客は、帰国後の越境ECの有力な顧客になります。実店舗・インバウンドとECを地続きで考える視点は、訪日リピーターを増やすLTV発想の施策も参考になるはずです。

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よくある質問(FAQ)

Q. Shopifyで海外販売を始めるのに、最初に何を決めればいいですか?

「どの国に売るか」を1つに絞ることです。通貨・決済・送料・関税・言語の設定は、すべて国ごとに事情が違います。対象国が決まって初めて、各設定の正解が決まります。全世界に同時に広げると、どれも中途半端になって、結局どこでも売れません。

Q. 越境ECの関税は売り手と買い手のどちらが払うのですか?

決め方は2通りあります。注文時に売り手が上乗せして納める方式(関税元払い・DDP)と、到着時に買い手が払う方式です。前者は買い手の体験が良く、後者は表示価格を安く見せられます。狙う国や客層に合わせて、どちらの体験で売るかを最初に決め、Shopifyの関税・輸入税の徴収機能で設定します。税率は国や品目で変わるので、必ず最新の条件を確認してください。

Q. 多言語対応は翻訳アプリを入れれば十分ですか?

最低限の表示はできますが、機械翻訳のままだと現地の買い手に不信感を与えます。特に返品・配送ポリシーや問い合わせ導線など「買っても大丈夫か」を判断する箇所は、自然な現地語に整える価値が高いです。全ページを一気に完璧にするより、購入判断に効くページから優先するのが現実的です。