📋 この記事でわかること

  • 越境ECで売上が伸びない3つの根本原因
  • CVR3.5倍・売上8倍を実現した改善プロセスの全手順
  • 越境ECマーケティングで必ず押さえるべき3つの原則

目次


越境ECをやっているのに、なぜか売上が伸びない。

広告費を増やしても流入は増えるのに、購入に繋がらない。商品に問題はないはずなのに、海外ではまったく刺さらない——そんな状況に陥っている事業者は少なくありません。

私が支援した米国向け越境ECも、最初はまさにその状態でした。広告は回っている、アクセスはある、でも売上が伸びない。その案件でCVR3.5倍・売上8倍を実現するまでのプロセスを、実務の視点でそのまま書きます。

越境ECで売上が伸びない「本当の理由」

多くの事業者が最初に疑うのは、「広告のクリエイティブが悪い」「予算が足りない」「商品の価格が高い」といった表面的な要因です。

しかし実際に数字を深掘りすると、問題の根本はほぼ決まってこの3つに集約されます。

1. 顧客インサイトの解像度が低い

越境ECで最初につまずくのが、「日本国内で売れているから海外でも売れる」という思い込みです。

同じ商品でも、海外の顧客が求めているものは全く異なる場合があります。日本では「品質の高さ」が訴求ポイントになっていても、米国市場では「ストーリー性」「文化的な珍しさ」「ギフトとしての価値」が刺さるケースが多い。

顧客インサイトの調査をせずに国内と同じLP・広告文をそのまま英訳しても、売れないのは当然です。

2. LPの構造が海外ユーザーに最適化されていない

海外向けLPで特に多い問題が、情報の優先順位が日本仕様のままであること。

日本のECサイトは情報量が多く、スクロールしながら読む文化があります。しかし英語圏、特に米国のユーザーはファーストビューで「これは自分に関係あるか」を瞬時に判断し、そうでなければ離脱します。

  • ファーストビューに決め手となる情報(価格・差別化ポイント・社会的証明)がない
  • CTAが下にしか置かれていない
  • 商品説明が長すぎて価値が伝わらない

これだけでCVRは大きく変わります。

3. SEOが国内最適化のまま

越境ECのSEOは、国内SEOとは別物です。

Googleの検索エンジンは国・言語によって異なるアルゴリズムで動いており、日本語で上位表示されていても英語圏での検索では圏外、というケースは珍しくありません。

ターゲット国のキーワード設計、hreflangタグの設定、ドメイン戦略(ccTLDかサブドメインか)——これらを整えずに「英語ページを作ったのに流入が来ない」という相談は非常に多いです。多言語SEOの設計手順についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

CVR3.5倍・売上8倍を実現した改善プロセス

私が支援したのは、日本の伝統工芸品を米国向けに販売する越境ECです。広告は動いているがCVRが低迷し、売上が頭打ちになっていました。

Step 1:顧客インサイト調査でニーズを再定義

まず購入者へのアンケートと、SNS・レビューの定性データを収集しました。

わかったのは、米国の購入者の多くが「日本文化への興味」よりも**「ユニークなギフト」として検索・購入していた**ということ。クリスマスや誕生日のギフトとして探しており、「誰かに贈ったときのシーン」を想起させるコピーが刺さる、という仮説が立ちました。

この発見をもとに、LP全体の訴求軸を「職人品質」から「贈り物体験」に転換しました。

Step 2:LPとサイト全体のUX一新

インサイトの再定義を受けて、LPを全面的に作り直しました。

主な変更点:

  • ファーストビュー:「The perfect gift from Japan」という一文をヘッダーに据え、ギフトシーンの写真を配置
  • 社会的証明:レビュー・星評価をファーストビュー直下に移動(以前はページ下部だった)
  • CTA配置:スクロールなしで「Add to Cart」が見える位置に変更
  • 価格の見せ方:「送料込み・税込み」を明示(海外ユーザーは追加費用の不透明さで離脱しやすい)

A/Bテストを3回繰り返しながら改善した結果、CVRは3.5倍に到達しました。

Step 3:Google USAのSEOと広告の同時最適化

LPの改善と並行して、英語圏向けSEOを整備しました。

具体的な施策:

  • 「Japanese Kintsugi Kit」「Japanese craft gift」などギフト文脈のキーワードで記事コンテンツを作成
  • hreflangタグを正しく設定し、日本語ページと英語ページの重複評価を解消
  • Google Shopping広告を新訴求軸(ギフト)に合わせてクリエイティブを刷新

この一連の対応で自然流入が**+180%となり、Google USA「Japanese Kintsugi Kit」カテゴリでの上位表示を獲得。売上は施策開始から6ヶ月で8倍**になりました。

越境ECマーケティングで押さえるべき3つの原則

上記の事例から導き出した、越境ECで成果を出すための原則をまとめます。

原則1:「翻訳」ではなく「ローカライズ」

言語を変えるだけでは越境ECは機能しません。訴求軸・ビジュアル・価格表示・決済方法・カスタマーサービスの文化的な最適化まで含めて「ローカライズ」です。

特にコピーは、直訳ではなくターゲット国のユーザーが日常的に使う言い回しに合わせる必要があります。

原則2:データを国別に分けて分析する

GA4やプラットフォームのデータは、必ず国別に分けて見てください。日本と海外を合算した数字では問題の所在がわかりません。

「どの国から・どのデバイスで・どのページで離脱しているか」を国別に把握することで、優先して改善すべき箇所が見えてきます。

原則3:広告とSEOは「車の両輪」

越境ECの立ち上げ期は広告で即効性を確保しつつ、SEOで中長期の流入基盤を作るのが定石です。Shopifyを使った越境EC立ち上げの具体的な手順についてはこちらで解説しています。

広告だけでは利益率が圧迫されつづけ、SEOだけでは成果が出るまでに時間がかかりすぎる。両方を同時に動かしながら、広告で得たデータ(どのキーワード・クリエイティブが購入に繋がるか)をSEOのコンテンツ設計に活かすサイクルが重要です。

まとめ

越境ECで売上が伸びない原因は、広告費や商品力ではなく「構造」にあることがほとんどです。

  1. 顧客インサイトの解像度を上げる
  2. LPをターゲット国のユーザー行動に合わせて最適化する
  3. SEOを英語圏向けに整備し、広告と組み合わせて回す

この3ステップを順番に実行するだけで、結果は大きく変わります。


よくある質問(FAQ)

Q. 越境ECを始めるのにどの国から攻めるのが正解ですか?

自社商品のカテゴリや既存の購入データを参考に決めるのが最も合理的です。データがない場合は、日本文化への親和性・英語対応のしやすさ・市場規模を考慮すると、アメリカ・オーストラリア・カナダが入り口として優先されるケースが多いです。いきなり複数国展開するより、1国で勝ちパターンを確立してから横展開する順番が失敗しにくいです。

Q. 越境ECで最も難しいのはどのステップですか?

「顧客インサイトの再定義」です。国内で売れているからといって、同じ訴求軸が海外で通じるとは限りません。購入者インタビュー・レビュー分析・SNSでの反応確認など、定性データを丁寧に集めることが最初の難関です。ここをスキップして広告を先に出しても、設計が甘ければ予算を消耗するだけで終わります。

Q. 英語のコピーライティングが得意でない場合、どうすればいいですか?

まず日本語でコピーの軸(誰に・何を・なぜ)を固め、DeepLやChatGPTで英語化した上でネイティブチェックをかける方法が現実的です。完璧な英語よりも「訴求軸が合っているか」の方がCVRへの影響は大きいです。ターゲット国のAmazonやShopifyストアで競合の商品説明を読み込むと、現地で使われる言い回しが自然に身につきます。


参考資料・出典


関連記事

越境ECのマーケティング設計や、既存サイトの改善について相談したい方は、30分の無料相談からお気軽にどうぞ。